APW法で銅のバンド計算

1原子のAPW法を作りました。とはいっても基本的に[1]のティッセン先生のプログラムをCに
直しただけなんですが・・・。
[1]のプログラムでは、有効ポテンシャルが既に与えられている、という前提だったので、
[3]を参考にLDAで有効ポテンシャルを計算して、マフィンティン半径でポテンシャルが
ゼロになるように調整して使ってみましたが、ほぼ[1]と同じ結果が得られました。
[3]のプログラムでは不等間隔グリッド、ハミング法で微分方程式を解くという、いろいろなテクニックを
駆使して解いていますが、ここでは簡単に等間隔+4次ルンゲクッタで解いてみました。
これでも結構いけるようです。


Cu(fcc-6.82[a.u.])のエネルギーバンド計算結果。


有効ポテンシャルの比較。
上の赤線は1原子KS方程式を自己無頓着に解いて求めたポテンシャル
(ハートリーポテンシャル+L.HedinとB.I.Lundqvistの交換ポテンシャル)
下はティッセン本で与えられたリファレンスのポテンシャル。
赤線をマフィンティン半径位置でゼロになるようにオフセットをずらして
積分値が同じになるようにスケール調整したものも、下線にほぼ重なっています。

実は、APW法では各k点の平均電荷密度で自己無頓着に解かないといけないのですが、
今回の場合は、1原子の有効ポテンシャルだけでもそれっぽいバンド図が描けました。
とりあえずの目標のCuのバンドが計算できてよかったです。

【参考】
[1]ティッセン先生のホームページ。プログラム(FORTRANです)もあります。
http://www.tn.tudelft.nl/tn/People/Staff/Thijssen/comphybook.html
[2]コンピュータでみる個体の中の電子
[3]多電子原子の全電子軌道
  http://www-cms.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~naoki/CIPINTRO/CIP/atom.html